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International Aerospace Consulting

Chairman Prof.Dr. Masataka MAITA

21世紀初頭に国際宇宙ステーションの運用が開始され、宇宙開発は更に月、惑星へとその領域を拡大し、その活動も限られた先進国から開発途上国へ拡がるとともに今や宇宙活動の商業化の時代へと発展しています。宇宙は地球の延長線上の人類の新しい活動領域となる「地球圏宇宙」の時代へと拡がります。

 こうした21世紀の宇宙活動の積極的な展開を図る上で地球と宇宙を繋ぐ架け橋となる新しい宇宙輸送システムが重要となっています。求められるシステム設計の要件は、これまでの宇宙輸送システムの開発・運用を通しての多くのレッスンに因るところが多く在ります。その一つが宇宙開発に強く求められている「経済の原理」。例えば、現在の宇宙輸送のコストと地上の航空輸送とを単純に比較しますと、ほぼ1000倍のコスト高です。更にこうした輸送システムにより構築される宇宙構造物に至っては何と地上の10000倍のオーダーなのです。(IEEE調査レポート、1994年) 下図は宇宙輸送コストの年代別の推移を纏めたものです。1960年代の液体ロケットエンジンの性能向上に代表される技術革新に伴い大幅なコスト削減がなされましたが、以来、輸送システムの革新が叫ばれつつも半世紀に亘り全く実現されていないのが現状です。又、運用面を考えてみても、物を運ぶときに現在の使い捨て方式のロケットのように、輸送機をその都度新たに開発することは航空輸送の世界以外では考えられませんし、次の運用まで整備点検等々で数ヶ月以上の期間(ターンアラウンドタイム)を必要とする状況は、自在な宇宙開発の進展の大きな障壁の一つとなっています。また安全性、信頼性の面からも航空機により近い基準が要求されます。

 こうした現在のシステムの抱える問題点、反省から、経済性の追求と運用性の格段の向上に応えるべく、次世代宇宙輸送システムの開発では(I)従来のロケットのような使い捨て部分を無くし(軌道への加速・上昇途中に機体の一部を切り離しせずに、地上を離れたハードウェアがそのまま軌道に乗り、再突入して帰還)、くり返し何度も使用する「完全再使用性」の設計。そして(II)航空機のような運用方式をその設計の基本とする事等が不可欠となります。特に(II)の特徴は「大気」の積極的な活用にあります。大気圏を通過する間は主翼の揚力で機体重量を支えることで推進システムの負担を軽減する航空機のような飛行方式、形態をとります。また、大気中の空気を有効に取り入れて推進エンジンの酸化剤として利用し、その性能を大幅に向上させ、またロケットエンジンに必要な液体酸素に代表される重い酸化剤(大凡、全体重量の70%〜80%を占めます)を極力減らすことができるエアブリージングエンジンと呼ばれる新しい推進エンジンを用いることが鍵になります。こうしたエアブリージングエンジンとロケットを複合したエンジン(ARCC:Airbreather/Rocket Combined Cycle)を機体と一体化した航空宇宙機、即ちスペースプレーンがこの一例です。航空機のように滑走路を水平に離着陸し、機体全体がそのまま宇宙に行って再び地球に帰還することを可能とする設計です。また可能な限り航空機の設計・インフラ等との共通性を持たせることにより運用性の向上を図ることを基本としています。

 こうした空力軌道を飛行する宇宙輸送システムのコンセプトは決して今に始まったものではありません。1928年には既にE.ゼンガーにより研究され、またこの鍵となる極超音速エアブリージングエンジンについても A.フェリー、F.ビリッグらにより1960年代にかけて先導されてきたところです。その後、弾道形態のロケット、スペースシャトル等の開発の中で埋没してしまいますが、1986年スペースシャトルチャレンジャーの悲劇的な事故以来、次世代システムの要請の中で我が国も含め欧米各国で再開されるところとなりました。スペースプレーンの実現に向けて半世紀以上の努力が積み重ねられては来ました。スペースシャトルは既に引退してしましましたが、未だに実現されていません。しかしながら、今日までの技術革新により、スペースプレーンの実現がもう一歩のところまで来るに至っています。今後こうしたスペースプレーン実現の前提となる技術の開発そして技術評価実証により次世代システム設計を効率的に具体化し、開発への展望を拓くことが求められます。

 航空宇宙機であるスペースプレーンの特徴は、宇宙のみならずこの加速技術を応用して、地球上の2点間を極めて短い時間で結ぶ超高速輸送機としての側面も有しています。軌道速度まで加速し、その後滑空し(ブーストアンドグライド方式)地球半周を1〜2時間で到着することも可能です。宇宙へ、誰もが容易に快適に行く事が可能となります。

 スペースプレーンは高度な技術チャレンジではありますが、それはもはや決して不可能な夢ではありません。着実な技術開発の積み重ねがそれを現実のものとします。 

Courtesy JAXA

関連文献 (English manuscripts excluded) :

舞田正孝、スペースプレーンシステムコンセプト,日本航空学会誌 第39巻 第454号 頁571−579、1991年11月

舞田正孝、次世代有人宇宙輸送システム,日本航空学会誌 第37巻 第428号 頁401−411、1989年9月

舞田正孝(科学技術庁研究開発局)、「スペースプレーン検討会報告総理府科学技術庁、昭和62年6月

舞田正孝(郵政省宇宙ビジョン懇談会委員)、「宇宙通信政策懇談会報告」、郵政省 平成元年412月

舞田正孝、技術立国のブレークスルー「有人宇宙船」、テクノビジネスマン読本、ダイアモンド社、1992年

舞田正孝 パシフィック・エクスプレス −マッハ20で日米2時間− 東京新聞(一面)、平成7年7月27日

舞田正孝、産経新聞21世紀の未来、1998年6月12日

舞田正孝 朝日新聞社「科学年鑑」の航空機—高速化と飛行領域の拡大(平成4年)

舞田正孝、スペースプレーン実現へのキーテクノロジー、「航空宇宙」創刊号、1991年3月

新聞記事、日経新聞産経新聞他

舞田正孝、航空宇宙機スペースプレーン,科学技術ジャーナル pp.24−25、1999年9月

舞田正孝(科学技術庁再使用宇宙輸送システム検討会委員)、「再使用宇宙輸送システム検討会報告」、科学技術庁、平成9年5月

舞田正孝(科学技術庁将来型宇宙輸送システム懇談会委員)、「将来型宇宙輸送システム懇談会報告」、科学技術庁、平成12年5月

舞田正孝、21世紀の新しい宇宙輸送機の実現を目指して、なる No.464 1997年12月

舞田正孝、第3版航空宇宙工学便覧、編集委員、第C4章-4.1節「概説」、4.4節「スペースプレーン」著、丸善出版(平成17年)

舞田正孝、スペースプレーン特別企画 パネル討論会及び特別講演、 日本航空宇宙学会飛行機シンポジウム、1988年10月

舞田正孝、特別講演「スペースプレーン構想」、日本航空宇宙学会飛行機シンポジウム、1989年10月

舞田正孝、スペースプレーン研究開発の推進方策、日本計画研究所,昭和62年9月

舞田正孝、日本機械学会「先端技術フォーラム」 特別講演「Spaceplane R&Dプログラム」、平成5年4月

舞田正孝他、特別企画「極超音速機」パネル討論、宇宙輸送シンポジウム、宇宙科学研究所、2007年1月

舞田 正孝、スペースプレーンプログラム、宇宙科学研究所Himes委員会 1992/6/29

舞田 正孝、将来宇宙輸送システム/スペースプレーン技術のフイージビリティ、宇宙科学研究所将来宇宙輸送システム研究会1994. 11. 14

舞田正孝、宇宙輸送システムの革新を目指して、宇宙科学研究所システム計画研究会、平成13年1月

舞田正孝、先端技術開発によるInnovation Japan、宇宙輸送シンポジウム、宇宙科学研究所、2007年1月 他

Lecture Notes for graduate studies 大学院講義資料

航空宇宙機システム/スペースプレーン特論

Design & System Integration of Spaceplane/Hypersonic Vehicle

歴史的背景              Background

極音速推進技術   Hypersonic Propulsion

システム設計I      System Design I

システム設計II     System Design II

システム設計III   System Design III

極超音速技術評価    Technology Readiness

輸送コスト評価        Launch Cost Analysis

参考教科書                Reference Book :

                                    Fundamentals of Airbreathing Rocket Combined Cycle Engine & Design of SSTO Spaceplane                                      Vehicle

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